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ステイトメント『ルーツから未来へ、視点は今』

 

 

 

 ステイトメントとは、何かを宣言することです。

 今回の企画は、一番最初の企画書の時点から、「現代口語演劇のアップデート(進化)を試みる」と掲げてきました。

これが宣言になっているかは分かりませんが、少し進んだ現在(1月28日 16時25分)に思っていることを書きます。

 1月28日の今日、少し話は変わるかもしれないんですけど、森美術館でやっている「未来と芸術展」に行ってきました。とても楽しかったです。

 チケットを3階で購入し、エレベーターに乗り52階に向かいます。その後にエスカレーターをひとつ上がると、森美術館の展示が始まるという感じなのですが、チケット購入後、エレベーターを乗る前のフロアにオープニング作品というか、導入のような作品が展示してありました。それは、去年の紅白でも話題になった、人工知能を使い、美空ひばりさんの歌声の再現を試みたプロジェクト「AI美空ひばり」でした。内容としては「AI美空ひばり」が歌唱する、美空ひばりの新曲と位置付けられている『あれから』という楽曲を、本人が歌っているように作られた映像とともに鑑賞する感じの作品でした。去年の紅白で観たときには、私は死者に対する冒涜のように感じていました。それでもテレビの向こうの息子さんは泣いていたり、ビートたけしさんは肯定的な感想を述べていたりと、その時からずっとモヤモヤしていて、今回私はこの作品を観て、楽曲の良さのおかげで、冒涜だ!と叫びすぎずに今の感情でのバランスが保たれているのかなと考えることが出来ました。それでも、『あれから』の中で、大サビに入る前に「頑張って生きてきましたね、私の分もどうか〜」的なセリフを入れるのは、ザラザラとした後味で残る気持ち悪さがあって、まだどうかなって思っています。

 このような作品から始まり、色々な体験をすることが出来た「未来と芸術展」だったのですが、入り口に書いてある文章、”AI、バイオ技術、ロボット工学、ARなど最先端のテクノロジーとその影響を受けて生まれたアート、デザイン、建築を通して、近未来の都市、環境問題からライフスタイル、そして社会や人間のあり方を考察する展覧会です。”と書かれていた(問題があったら消します)のですが、本当にその通りに楽しめたので驚きました。さすが森美術館。

 本展に訪れる前にツイッターでチラッと見かけていた感想で、行きすぎた未来はマッドサイエンティスト感があるという感想を見かけていました。実際の自分の感想としては、確かにマッド感を感じるところはあって、そのように感じる理由を考えると、現在の自分とはあまりにもかけ離れているように思うからではないかと考えました。しかしこれと同時に、このSF作品の中の出来事のように感じることは別に、そのような未来がすぐそこまで来ている危惧のような感覚も覚えてました。新たな常識(マナー)・倫理観を定義付けなければならないタイミングが訪れると想像ができます。例えば、車の自動運転で事故が起きたら責任は誰が負うのか、親はどこまで細胞レベルで手を加えて良いのか、と言った事柄です。

 マッド感を感じて、遠い未来に思えることも、想像ができそうな近未来も、実は地続きで、あいだが埋まっていればどこまでを想像を膨らませることができて、それに対しての行動や何かをしたり、それに対して肯定や意見を言うことができる。それによって、現在の身の振り方や、やるべきことが明確に見えてくる感じなのかもしれないです。とにかく、先に手を伸ばそうとするのは必要だなと改めて思います。

 未来を思う時に感じることが一つあって、それは未来を思う強さと同じ強さで、過去へも矢印が伸びていくのではないかと考えます。これは、例えだったりが思いつかないんで今後の自分への宿題なんですけど、歴史を踏まえて未来を検討している時に感じる感覚のような話です。

 最後になるんですけど、今回の企画はこの展覧会にならって、「現代口語演劇のアップデートの過程を通して、未来の演劇とは未来そのものとは何だろうか展でもあるよ〜」と、そういう風に宣言してみたいなと思います。

 そして今回の企画の達成目標としては、

・上演するボリュームとして正しいものを適切に選択する

・劇場特有の閉鎖的な箱庭感

・集中力と煮詰められたような濃密な空気感の関係について

・戯曲固有の佇まいを調べる

の4点を考えています。

 こんな感じですが、以上を、今回の企画『自然な未来』のステイトメントとしたいと思います。(三橋亮太)

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